ご挨拶-原口 哲之理
ご挨拶

電動化車両の未来とテスティング技術に関する
学際的な議論の場

xEVテスティング・イニシアティブ2025
委員長
原口 哲之理
TETSUNORI HARAGUCHI
日本大学 生産工学部 上席研究員

名古屋大学 未来社会創造機構 客員教授

博士(工学)

自動車の黎明期から存在していた電気自動車は、100年以上の時を経て、地球温暖化対策の観点から再び注目を集めています。

地球温暖化の本質的な原因は、一次エネルギー源、特に化石燃料への依存にあります。自動車が使用する最終エネルギーが燃料であれ電力であれ、環境負荷を低減するにはエネルギー効率の抜本的な改善が不可欠です。その鍵となるのが、電動化技術です。

電動化車両(xEV)にはさまざまな形態があります。内燃機関の効率を高めるハイブリッド車(HEV)、外部充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)、電力のみで走行するバッテリー電気自動車(BEV)、さらには水素を利用する燃料電池車(FCEV)などが挙げられます。いずれのxEVも、大容量の電池と電動モーターという共通の技術要素を持ち、脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を担っています。

近年、世界各国でxEVの導入が急速に進む中、科学技術だけでなく、政策や経済戦略といった社会的側面が大きく影響するようになっています。BEVへの極端な集中投資や、現実解としてのHEV再評価など、国や地域ごとに異なるアプローチが見られます。

私たちが目指すべきxEVの存在意義は、次の3点に集約されます。
  • 地球温暖化抑制など、社会的課題への真摯な対応
  • 従来の車両と同等以上の安全性と利便性を備えた持続可能なモビリティの提供
  • xEVならではの、新しい価値を創出するモビリティ像の提案と実現

この目標を達成するためには、自動車業界にとどまらず、エネルギー、情報通信、材料工学など、多様な分野の産学官の専門家が連携し、学際的な課題に取り組むことが不可欠です。また、政策的な潮流や社会的背景への理解も重要です。

「xEVテスティング・イニシアティブ」は、2022年にオンラインでスタートし、翌年には対面を基本としたハイブリッド形式へと進化しました。本会議では、xEVの将来像を支えるテスティング技術や社会実装に関する議論を深めるとともに、分野を超えた人材交流・連携の場を提供してまいりました。

本年は、対面参加のご要望にお応えし、交通利便性の高い名古屋市内にて開催いたします。高度で実践的な議論を通じて、xEVの未来をともに切り拓いていけることを願い、多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。